アルミフレーム強度計算、耐荷重とは?

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1. アルミフレームの強度とは?

アルミフレームで車中にベッドや収納棚を作るときにどれくらいの強度や耐荷重があるか

気になりますよね。

当然、アルミフレームサイズが大きくなればそれだけ強度的に強くなりますが、

実際にどの程度の違いがあるのかわからないかと思います。

アルミフレームで棚など構造物を作った時の強度や耐荷重を考える場合、

次の3通りの強度を考える必要があります。

アルミフレームの3つの強度

①アルミフレーム単体強度

②アルミフレームBOX強度

③アルミフレームどうしの結合強度

ここでは①と②について紹介します。

またアルミパイプやコネクタについても同様に強度や耐荷重をまとめていますので、

興味があればご覧ください。


アルミパイプの強度、耐荷重

 アルミパイプはアルミフレームと違い、同じサイズでも形状が異なるものが数種類あり、強度も異なっています。そのため使用用途や想定荷重に応じてパイプ形状を選ぶ必要があります。パイプ径を1サイズアップすればパイプ強度は約4倍ほど強くなります。


パイプをつなぐコネクタの強度、耐荷重

 アルミパイプはコネクタと呼ばれる部品でパイプどうしを連結します。ブラケットと違い、コネクタの使い方は1通りで強度はあまり強くありません。特にモーメント荷重に弱く、長いスパンで使う際は注意が必要です。そのため補強コネクタを使いながらどこで荷重を受けるかを想定して構造を決める必要があります。





2. アルミフレーム単体強度

アルミフレーム単体強度は純粋にフレームのみの強度となります。

例えばフレームを物干しにしたり、フレームにフックを掛けて重量物をかける場合に

利用します。

棚のような組んだ状態の場合にはBOX強度となるのでご注意ください。

アルミフレーム単体の耐荷重は次の2つの荷重で表現されています。

2.1 たわみ量

たわみ量とは図のようにフレームの両端をブラケットで固定した状態で

フレーム中心に重さをかけた場合にどれだけ下にたわむかがたわみ量となります。

仮定としてブラケットのずれやすべりはなくフレーム自体の重さも無視します。

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両端支持フレームの中心に集中荷重

メーカ推奨荷重はフレーム長さの1/1000のたわみ量以下となる荷重です。

ただしそれ以上に荷重をかけてたわんでもすぐに折れることはありません。

あくまでそのたわみ量以下で使えば安心して恒久的に使用できるというものです。

2.2 限界荷重

限界荷重とはこの荷重をかけるとフレームが折れるとされる荷重(計算値)です。

当然、この荷重での使用はNGです。

2.3 たわみ量と限界荷重の数値

いずれもモーメントとして働くためフレームサイズや長さで数値が大きく変化します。

そこでいくつ数値を表にまとめてみました。

フレームサイズは使用頻度の高い(20×20)と(30×30)mmとしています。

(10「N]≒1.0[kgf]で計算しています)

フレーム長たわみ量推奨荷重限界荷重
[mm][kgf]
(20×20)5000.59.0120
10001.02.460
15001.51.040
20002.00.630
(30×30)5000.538.0310
10001.09.5150
15001.54.0100
20002.02.077

フレーム長が長くなるほど推奨荷重、限界荷重が小さくなります。

またフレームサイズが大きくなれば推奨荷重、限界荷重は大きくなります。

これを見ると、限界荷重と推奨荷重にだいぶ違いがあります。

推奨荷重はだいぶ余裕を持たせてあるのでしょう。

そこで今度はもう少し細かく計算してみました。

下表はあるフレーム長に荷重をかけた時のたわみ量を計算したもので、

表中の数字はたわみ量となっています。

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(20×20)mmフレームのたわみ量[mm]

30x30%ef%bc%89%e3%81%9f%e3%82%8f%e3%81%bf%e8%a8%88%e7%ae%97%e7%b5%90%e6%9e%9c

(30×30)mmフレームのたわみ量[mm]

この表では限界荷重を無視して公式からたわみ量を単純に計算しています。

そのため表中の荷重を実際にかけてしまうと破断するケースもあるのでご注意ください。

あくまで目安はフレーム長の1/1000だけたわむ荷重が使用荷重となります。

(30×30)mmサイズだと(20×20)サイズの3倍ほど強そうですね。

集中荷重は最もたわむ負荷の与え方であるためフレーム全体に荷重をかけた場合の

たわみ量はもっと少なくなると思われます。

そのためこの表は厳しい使用環境下でのたわみ量と考えて参考程度に見てください。


3. アルミフレームBOX強度

次にアルミフレームBOX強度を紹介します。

実際によく利用するのはこちらのBOX強度です。

棚のようなBOX形状をフレームで組んだ時、荷重はフレーム単体にかかるわけではなく

全体でそれを受けることになります。

そのため単体よりも大きい荷重に耐えれます。

3.1 BOX強度とは?

ここではBOX形状を組み立てたときの強度を計算してみました。

box

計算モデル図

計算では上記モデル図を考えており、青い線はフレームを表しそれを各角で完全に固定して

ブラケットのずれや変形はなく純粋にフレームが変形するものとしています。

荷重は中央荷重としており面の中心に荷重を集中させるものです。

判りやすいイメージだとBOXの上に板を置きちょうど面の中心におもりを置くものです。

この荷重の加え方は比較的厳しい条件であり、実際の使用では荷重の分布が変わるため、

計算結果よりもよくなると考えて下さい。

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3.2 (20×20)フレームの耐荷重

(20×20)フレームを使ってBOX形状を作ったときの計算結果です。

この計算ではBOXの上面に中央荷重を加えて下にたわむ量安全係数を計算しています。

20x20%e3%80%80box

(20×20)mmフレームの計算結果

ここで安全係数とは使用中の破壊に対する安全度のようなものです。

安全係数1はいつ壊れてもおかしくない状態で破壊する強度と使用環境の荷重が

一致している状態です。

逆にこの数字が大きいほど同じ使用状況でも壊れにくいことになります。

アルミフレームの場合、一般的に安全係数を4~5以上がよいと言われています。

この計算結果からフレーム長が長くなるほどたわみ量が大きく安全係数が小さくなる

ことが分かります。

仮に50kgの重さを加えた場合、フレーム長は1,000~1,500mm程度までしか選べない

ことが解ります。

3.3 (30×30)フレームの耐荷重

次に(30×30)mmフレームを使った場合も計算してみました。

1,000mm以下は想定している使用環境下では十分強いので割愛しています。

30x30%e3%80%80box

(30×30)mmフレームの計算結果

さすがに(30×30)mmフレームになると非常に強くなります。

100kg程度までであれば2,000mm以下のBOX形状で十分いけそうです。


4. さいごに

ここではアルミフレームで耐荷重について説明してきました。

使用荷重が分かっていれば事前に強度を計算できることがアルミフレームの特長の1つです。

木工では計算することが難しくほとんど経験になってしまいます。

もしアルミフレームでDIYされる場合は事前にどのような荷重がかかるかを考えて、

それが単体なのかBOXなのかを考慮し計算してみてください。

そしてフレームどうしを結合するブラケットの耐荷重を計算していずれも許容値以内であれば

安心して使うことが出来ます。

ブラケットの耐荷重は次の記事に説明していますので、興味があればのぞいて見てください。


アルミフレーム結合における耐荷重

 アルミフレームはブラケットと呼ばれる部品を使って互いを連結することができます。ブラケットの基本的なものはL字形状で互いを直角に接合します。アルミフレームで構造物を作った時にフレームが折れることはほとんどなく、この接合部が外れることで壊れることがあります。そのためブラケットの選定と使い方は非常に重要となります。


最後のこのように便利なアルミフレームやパイプの購入方法ですが、

実はホームセンターなどではほとんど販売されていません。

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またこれまでのサポート事例はこちら。

 サポート事例集

より詳しくアルミフレームやアルミパイプを知りたい方は動画で実物を使った説明や

実際にDIYしている様子を見ることができます。

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他にも次のような収納棚やテラス屋根など作っていますので興味があればご覧ください。

いずれも賃貸住宅で出来るもので壁や天井を傷付けません。


「キッチンの壁収納を製作」

 アルミフレームを使ってキッチンに壁収納を作りました。壁を傷付ける事なく、アルミフレームを突っ張り棒のように固定して他の部品を組み立てていきます。アルミは燃えないので火の回りで使っても安心。しかも100均部品を利用したからくりがあります。右の写真でテーブルがありますが、どこか判りますか?

「脱衣所の収納棚製作」

 住んでいる家の洗面室がとても狭く、家族4人分の着替えや洗剤などを置く収納場所がありません。そこでアルミフレームを使って洗濯機の上やちょっとしたスペースを有効的に利用できる収納棚を作りました。市販品の棚だとどうしても無駄なスペースが出来ますが、自分で設計して作れば最適。しかも100均を利用して費用も抑えました。

「3万円台で作るテラス屋根」

 住んでいる賃貸住宅には軒や屋根がなく、洗濯物を干したり自転車を雨から避ける場所がありません。そこでアルミパイプを使って幅4mもあるテラス屋根を作りました。特徴は壁を傷付けたりコンクリートを使用せずにいつでも元に戻せること、目隠し壁まで取り付けても費用は4万円台という点です。

「洗濯物を干すサンルームをDIY」

 うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。

賃貸でキッチン目隠しカーテンをDIY

 今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。パイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。

回転式乾燥スタンドをDIY

 サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。

パントリーに収納棚をDIY

 高さ2mもあるパントリーには据付の棚がありません。そこで収納棚を作り、上の空間まで無駄なく利用できるようにします。ただ問題はここが賃貸住宅であること。そのため壁に直接ビスや釘は使えません。そこでパイプを突っ張り棒のようにして固定することで10kgの米袋を載せてもビクともしない棚にしました。

(キッチンに可動式物置き台をDIY)

 キッチンで食器洗いや料理をしているときにちょっとした物置き台が欲しくなります。例えばタブレットで動画を見たり、ボウルや野菜などの材料をちょっとだけ置くなど。そんなときに便利な可動式物置き台をアルミパイプでDIYしました。この台はスライドして自由に動かせるので作業する場所でいつも使えます。

(狭いキッチンシンクを整理スペースDIY)

 賃貸住宅のキッチンのシンク回りが狭くて作業がとてもやりずらい。食洗機が付いておらず食器カゴを使ってますが、これがシンクの上で場所を取ります。そこで食器カゴをシンクタンクの上に置ける台をアルミフレームでDIYします。水にぬれても錆びない材料なので水回りにピッタリです。

(スズキアルトに2mの車中泊ベッドをDIY)

スズキアルトに2mの長さがある車中泊用フラットベッドをアルミフレームでDIYしています。このベッドは共同DIYで私が設計や加工を担当し、離れて住む友人が車中で組立てを実施しました。アルミフレームは設計や加工に経験が必要なものの、組立てはとても簡単で誰でもすぐにできます。

(可変式2段ハンガーラックをDIY)

空いたスペースにぴったりのハンガーラックをアルミパイプでDIYしました。このラックは2段式になっていて、それぞれ高さを自由に変更することができます。上段は長男の服、下段は次男の服を掛けています。自分の好きなサイズで作れて子供の成長に合わせて簡単に調整できます。

(ロードバイクの保管車庫をDIY)

屋外でしっかり保管できるロードバイクの車庫をアルミフレームでDIYしました。ショーケースのように完全に覆った車庫で雨風が一切入りません。出し入れが簡単なように複数の扉が付いており、この中でメンテナンスもできます。鍵を付けることもできるので防犯対策にもなりますよ。

(モビリオの車中泊用ベッドを作ろう)

私は子供と一緒に車中泊するのが趣味です。これまでも色んな場所へ行ってきました。しかし子供が大きくなり車中で寝るのが難しくなってきたので、アルミフレームを使ってフラットベッドを作りました。このスペースがあれば子供二人連れての車中泊も全然大丈夫です。

(本棚に使える大容量マガジンラックをDIY)

リビングでは雑誌や本が散らかりやすいですね。そこで雑誌や本、大きなファイルを40冊以上収納できる回転式マガジンラックをDIYしました。また2段にして上段には小物入れ、下段がマガジンラックになっています。アルミパイプ以外は全て100均で購入した部品です。


(参考ページ)

  

  1. 家庭DIYで使用する部材

  2. アルミ部品の種類

   2.1 アルミフレーム

    2.1.1 アルミフレームの加工方法

    2.1.2 アルミフレームの耐荷重

   2.2 ブラケット

    2.2.1 ブラケットの耐荷重

   2.3 組立て方法

   2.4 アクセサリ

   2.5 フレーム with 100均

   2.6 アルミパイプの種類

    2.6.1 アルミパイプの強度

   2.7 アルミパイプのコネクタ種類

    2.7.1 コネクタの強度

  3. 設計ツール 3D CAD

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