1. アルミパイプの強度とは?
アルミパイプで構造物を作ろうと考えた時、どの程度の重さまで大丈夫かが重要です。
例えば洗濯物干し竿や棚などを作った際に途中で壊れては大変です。
アルミフレーム同様にアルミパイプも推奨荷重、つまりこれぐらいの重さまで大丈夫という
メーカの推奨値があります。
アルミフレームは事前に強度を計算することができます。そのため使用想定荷重に対して十分な安全率を持った設計が可能です。強度計算は①フレーム単体、②構造体の耐荷重、③ブラケットの耐荷重となります。ここでは①と②について、計算方法や推奨荷重を説明しています。
アルミパイプの強度は①アルミパイプ単体強度、②コネクタの接合強度の2つになります。
アルミフレームのようなBOX強度はありません。
アルミパイプ単体強度は単純にアルミパイプにどれくらいの重さまで掛けられるかを
表す強度となります。
アルミパイプ単体強度は①パイプ径、②パイプ断面形状によって変わります。
アルミパイプ径が大きく、断面が詰まっているとそれだけ強度が強くなります。
ここでは代表的なパイプ単体の強度を計算してみます。
2. アルミパイプ単体強度の計算方法
アルミパイプ単体強度はパイプ両端をコネクタで固定した状態でパイプ中心に荷重を
加えたときのたわみ量(下に沈んだ量)を計算してそこから使用推奨荷重が決まります。
このとき両端を固定したコネクタは滑ったり、外れたりしないと仮定します。
またアルミパイプそのものの重量も無視しています。
メーカの使用推奨荷重はたわみ量がパイプ長さの5/1000に達する荷重とされています。
この辺りはアルミフレームと同じですね。
参考までに簡単な計算例を挙げてみました。
(計算例)
パイプ長4,000mmの時の推奨たわみ量は次のように計算できます。
4,000×(5/1000)=20mm
そのため、たわみ量が20mmとなる荷重が推奨荷重です。
もしパイプの物を載せた時にたわみ量が20mmを越える場合はパイプの強度が
不足しているということになります。
つまり同じアルミパイプでも使用する長さが変わると強度も変わり、掛けられる重さも
変わってくるので注意が必要です。
計算手順としては、
①アルミパイプ径→②アルミパイプの断面形状→③アルミパイプの長さ
の順に決めていき、単体強度を計算してメーカの推奨荷重以下になっていればOKです。
推奨荷重を越えてしまった場合、すぐに破損するかというとそうではありません。
実は推奨荷重を越えても使用することは出来ます。
推奨荷重とは別に限界荷重というものがあります。
限界荷重とはこれ以上の重さを加えるとパイプが塑性変形する荷重のことです。
塑性変形とは元に戻れない変形であり、伸びきったゴムのようなものです。
すなわち、限界荷重を掛けてもパイプが折れる訳ではありません。
メーカでは限界荷重の80%までは使用可能としていますが、余裕のある使い方ではないため
ケースバイケースで使い分けてください。
3. 一般的なアルミパイプの強度
ここでは一般的によく使用するアルミパイプについて、単体強度を計算してみました。
・アルミパイプ直径 φ19mm
・アルミパイプ直径 φ28mm
・アルミパイプ直径 φ43mm
・中空タイプ(表中 φ28の一番上)
・扁平型タイプ(表中 φ28の真ん中)
・高強度タイプ(表中 φ28の一番下)
・長さ 500mm
・長さ 1,000mm
強度が比較にならないほど強かったり、同じ断面形状のものがない場合は割愛しています。
(10[N]≒1[kg] にて換算)
推奨荷重はたわみ量が5/1000となる荷重でパイプ長さが1000mmの場合は
5mmたわんだときに荷重となります。
パイプ長が長くなるとたわみやすくなって使用推奨荷重が小さくなります。
単純にパイプ長を2倍にしたら推奨荷重が半分になるというものでなく、
もっと推奨荷重が低くなるので注意してください。
パイプ径が変わると推奨荷重がだいぶ変わります。
パイプ径φ43では1000mmでも大人がぶら下がることができそうです。
パイプ径が1段階太くなると約4倍ほど強度が強くなっています。
パイプの断面形状でも強度が変化しています。
扁平断面は溝を横にするか、縦にするかで強度が異なるため強い方で計算しています。
当然、溝が横を向くようにすると強いです。
4. アルミパイプのたわみ量計算
次に各アルミパイプ(φ19、28、43)で荷重を変えた時、パイプがどれくらい
たわむか計算してみました。
パイプの断面形状は中空タイプで幾つかのパイプ長でのたわみ量を計算しています。
ここではあくまで公式を使ってたわみ量を計算しただけです。
メーカの使用推奨たわみ量はパイプ長の5/1000となっていますので、
それを目安に考えてください。
他の断面形状について興味があればお問い合わせよりご連絡ください。
表中の数字は左側の荷重をかけた場合におけるパイプ長500~4,000mmのたわみ量を
計算したものです。
例えばパイプ径φ19 1,000mmのパイプに30kgの重さを中心にぶら下げると
33.2mmたわむことになります。
しかし推奨たわみ量は5mmであり、その6倍以上もたわむため使用不可となります。
(10「N]≒1.0[kgf]、表中の数字の単位は[mm])
(アルミパイプ径 φ19の場合)
(アルミパイプ径 φ28の場合)
(アルミパイプ径 φ43の場合)
表中に数字があるから使用可能とは考えないでください。
計算したたわみ量とメーカの推奨たわみ量(5/1000)を比較して使用可能かどうかを
判断して下さい。
また経験的に推奨たわみ量の2倍のたわみ量までは使用可能ですが、それ以上になると
いつ壊れてもおかしくないので使用しない方が良いかと思います。
5. さいごに
アルミパイプやアルミフレームは木材と違い、品質にばらつきがなくどのパイプも
同じ強度を持っています。
そのためDIYする際には事前に必要な強度を計算して材料を選定することで
慣れてない人でも安心して使える物を作ることができます。
ここが木材を使ったDIYとの違いです。
アルミパイプでDIYされる際、まずは事前に使用方法や使用荷重を決めて、
パイプ径や断面形状を選定してください。
それから補強や構造、パイプのピッチなど考慮しながら設計すると安心して使えます。
ただし構造物を造った場合、パイプ単体の強度よりもコネクタの接合強度の方が
重要となることが多いです。
実際に設計以上の重さをかけた場合、アルミパイプが折れるよりも先にコネクタの
接合部が外れて崩れてしまいます。
そのためパイプ選定後はコネクタの接合強度も事前に確認されてください。
アルミパイプで構造物を作った場合、最も弱くなるのはパイプどうしの接合部です。ここではコネクタが使用されます。コネクタの強度は①滑り荷重、②引抜荷重、③モーメント荷重の3つに分かれており、その中でモーメント荷重が非常に重要となります。アルミパイプを使う場合は必ずこのモーメント荷重をチェックするようにしてください。
最後のこのように便利なアルミフレームやパイプの購入方法ですが、
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この中でテラス屋根とパントリー収納棚は比較的荷重がかかるものですが、
今も問題なく使用できています。
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うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。
今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。パイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。
サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。
高さ2mもあるパントリーには据付の棚がありません。そこで収納棚を作り、上の空間まで無駄なく利用できるようにします。ただ問題はここが賃貸住宅であること。そのため壁に直接ビスや釘は使えません。そこでパイプを突っ張り棒のようにして固定することで10kgの米袋を載せてもビクともしない棚にしました。
キッチンで食器洗いや料理をしているときにちょっとした物置き台が欲しくなります。例えばタブレットで動画を見たり、ボウルや野菜などの材料をちょっとだけ置くなど。そんなときに便利な可動式物置き台をアルミパイプでDIYしました。この台はスライドして自由に動かせるので作業する場所でいつも使えます。
賃貸住宅のキッチンのシンク回りが狭くて作業がとてもやりずらい。食洗機が付いておらず食器カゴを使ってますが、これがシンクの上で場所を取ります。そこで食器カゴをシンクタンクの上に置ける台をアルミフレームでDIYします。水にぬれても錆びない材料なので水回りにピッタリです。
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