(共同DIY)トヨタ コースターに車中泊用2段ベッドを自作


1.  はじめに

フレームDIYラボではアルミフレームやアルミパイプを使ったDIYを紹介していますが、

興味がある人と一緒に「LINK YOUR DESIGN」という共同DIYも行なっています。

これは実際にアルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒に協力しながら行う活動です。

アルミフレームやアルミパイプはとても便利な材料で木材にはない優れた特性がありますが、

普段身近にないため使い方がわからないという欠点があります。

そこでアルミフレームやアルミパイプの使い方や選定、設計などをアドバイスしながら

初めての人でも安心してDIYできるようにするものです。

これまで行なってきた共同DIYの様子はこちらから見る事ができます。


(共同DIYサポート事例集)

アルミパイプやアルミフレームを使ってみたいという方と一緒に共同DIYを行っています。これらの材料はとても便利ですが入手性の悪さからあまり知られていません。そのため部品選定や使い方、加工、組立方法など初めての人はわかりにくいです。そこで共同DIYでは誰もが扱えるようにサポートしています。


今回の共同DIYは北海道に住むKさんからの御相談です。

トヨタのコースターという車にに車中泊用の2段ベッドを作りたいという内容でした。

既に車中には1段のベッドがあるため、その上に新たな2段ベッドを作ります。

車内に2段ベッドってそんなスペースあるのかな?と最初は思いましたが、

このコースターという車を見て納得(笑)

これを車中泊仕様に改造できたらキャンピングカーはいらないでしょうね。

九州と北海道という普通に考えたら会うことのない二人が

どんなベッドを一緒に作るのかご覧下さい。




2.  Kさんからの相談内容

これまでモビリオやアルトといった車種で車中泊用ベッドをDIYしてきました。

またキャンターの車中泊用ベッドを共同DIYで作ったこともあります。

それらの記事を見ての御相談だったそうです。

アルミフレームやアルミパイプは車中泊用のベッドをDIYするのに適した材料です。


(モビリオの車中泊用ベッドを作ろう)

私は子供と一緒に車中泊するのが趣味です。これまでも色んな場所へ行ってきました。しかし子供が大きくなり車中で寝るのが難しくなってきたので、アルミフレームを使ってフラットベッドを作りました。このスペースがあれば子供二人連れての車中泊も全然大丈夫です。

(スズキアルトに2mの車中泊ベッドをDIY)

スズキアルトに2mの長さがある車中泊用フラットベッドをアルミフレームでDIYしています。このベッドは共同DIYで私が設計や加工を担当し、離れて住む友人が車中で組立てを実施しました。アルミフレームは設計や加工に経験が必要なものの、組立てはとても簡単で誰でもすぐにできます。

(キャンターのフラットベッドを共同DIY)

大阪在住のMさんからキャンターで車中泊できるフラットベッドを製作したいとの相談がありました。そこでアルミパイプとパーティクルボードで折りたたみ式のベッドを共同DIYしました。Mさんに車内寸法を計測してもらい私がベッドを設計します。途中、パイプが長すぎる問題が発生しましたが、パイプの加工方法をお知らせすることで解決して無事にベッドが完成です。


またアルミパイプを使えば簡単に脱着できる

ベッドやデスクを作ることもできます。

これは軽バンを利用したオフィスカーですが、

5分で棚やデスクを外して元に戻せます。

まずはKさんから現在の車中の様子とどのような2段ベッドを希望されるかをお聞きします。

こちらが2段ベッドを設置する予定の場所です。

今ある1段目のベッドの上に2段ベッドを新たに設置します。

奥に見える茶色カーテンは奥へと繋がる通路になっているようです。

次にこちらがKさんが考えられている構想図です。

自動車整備をされているため具体的な寸法や図面をいただけるのでとても有り難いです。

共同DIYで困難なのはお互いのイメージを合わせることで、構想図があると助かります。

ただこのような方は少なく、多くの方は写真や言葉などでお問い合わせを戴き、

一緒に構想図を考えていきます。

戴いた写真を見ると奥に続く通路があり、それを遮るようにベッドを作ります。

そのため通路として使う時に邪魔にならないようにしないといけません。

さらにベッドの強度を確保して安心して寝れるする事も重要です。

据付ベッドだと簡単ですが、簡単に取外しできるベッドとなると悩みますね。


3.  車中泊用2段ベッドの構想

2段ベッドの場合、特に強度が重要となります。

万が一、フレームが外れてしまうと1段目で寝ている人の上に落ちてしまい危険です。

また強度が不足すれば揺れるため快適に寝ることができません。

そこで今回はアルミフレームを使用しました。

アルミフレームは普段あまり見かけませんが、企業や工場では一般的に使われています。

アルミフレームには色んなサイズがあるため用途や必要強度に応じて選定します。

フレーム単体や組立時のたわみ量など計算して事前に強度を把握できるのでとても便利です。


(アルミフレームの種類)

アルミフレームは断面サイズで分類されており、(15×15mm)から(100×100mm)まで幅広いラインナップとなっています。断面形状も正方形だけでなく、長方形もあります。そのため用途に応じて使い分けが可能で、例えばカーポートから小さな棚まで幅広いDIYに適応できます。フレームサイズと一緒にブラケットなどの部品もそのサイズ専用となるので注意が必要です。

(アルミフレームの強度計算)

 アルミフレームの強度は①単体強度、②BOX強度、 ③接合強度の3つを考える必要があります。全ての強度が想定荷重よりも高ければ安心して作れます。


特にベッドを作る場合、ベッド板との接地面積を増やして荷重を少しでも均等に受けるため、

パイプ材よりもフレーム材の方が向いています。

Kさんから想定荷重をお聞きしてアルミフレームサイズの(30×30)mmを選びました。

子供程度の体重だと(20×20)mmサイズでもいいのですが、大人だと不安があります。

(30×30)mmサイズを使うと少し場所をとりますが、この車であれば大丈夫です。

次に2段ベッドをどのようにして車内に固定するかです。

いくらフレームサイズを上げてもアルミフレームと車体の固定が弱いと揺れてしまいます。

しかしそこは自動車整備プロのKさんがフォローしてくれます。

車体の壁に穴を開けて貫通させ、車体とアルミフレームを直接固定することにしました。

アルミフレームは表面にある溝に専用ナットを挿入してブラケットという部品を使うことで

フレームどうしを連結させます。

ここではブラケットを使って壁や床に固定する方法を考えました。


(ブラケットの種類)

 アルミフレームはブラケットと呼ばれる部品で連結されます。ブラケットは2つのネジ穴を持ち、ここにボルトを差し込んで専用ナットと締め付けることでアルミフレームに固定されます。フレームどうしを直角に連結することが多いですが、別の角度に固定するブラケットもあります。ブラケットは使い方によって連結強度が変わるので注意が必要です。


最後は奥へと続く通路の確保を考えます。

このベッドはちょうど通路を遮る場所にあるためこのまま常設するわけにはいけません。

しかし就寝時にいちいち組み立てるのも大変です。

そこでベッドを分割して通行を遮らない部分は常設、遮る部分は取り外せるようにします。

Kさんの理想は跳ね上げ式にして使う時だけ降ろす方法です。

アルミフレームはアクセサリという部品があり、ヒンジなど部品も簡単に取り付けられます。

これを利用して扉を作ったり車輪を付けて可動する台を作ることもできます。


簡単で便利なアクセサリ部品

 アルミフレームやパイプには標準のアクセサリ部品が用意されています。それを利用すれば特に何の加工もすることなく、色んな部品を取り付けて機能を持たせることが可能です。例えばヒンジやマグネットキャッチ、コロやアジャスターなど色んなDIYに応用できる部品が豊富にあります。


しかし今回のように人が上には載る場合、強度や安全性の面で難しくなります。

どこで荷重を受けるか悩ましいところでヒンジ自体にそれほど耐荷重がありません。

さらにベッド板が長いためモーメントも大きく、

構造的に受けるスペースや部位がなかったので今回は断念しました。

動的部品の設計は3D CADで描くことはできても干渉や動きなどを確認する事が出来ません。

このあたりはやはり現場で見ながら作り込む方がいいですね。

最終的には通路を横切るアルミフレームを上下に昇降させる方法にしました。

アルミフレームどうしを固定するブラケットを動かすことで、

通行する時はベッド板を外してフレームを下げて通路を確保します。

木材でベッドを作るとこのように部品を可動させる事が難しいですが、

アルミフレームはボルトで固定しているため自由に動かす事ができます。

これで車中泊用 2段ベッドの構想は終了です。

4.  車中泊用2段ベッドの設計

アルミフレームは専用の3D CADを使って設計する事ができます。

これを使うことで事前に色んな角度から設計したベッドを見れるため

Kさんに具体的なイメージを伝えることができます。

さらに作る前に車体への干渉なども事前にチェックできるため大変便利です。


アルミフレームの3D CAD設計)

 アルミフレームやアルミパイプには専用の3D CADが無料で提供されています。そのためこれを使えば作る前に色んな角度から見ることが可能となり、設計ミスが少なくなります。さらに部品の長さや種類、数なども自動で計算してくれるので部品手配ミスや加工ミスも低減することができます。


こちらが何度もやり取りを交わした後に二人で考えた2段ベッドの設計図です。

Kさんの希望でフレームをなるべく減らして、その分強度が高いブラケットを使いました。

ベッド板はKさんの方で準備されるのでここには描かれていません。

ベッドが載るフレームの溝には専用ナットが入っており、板の上からボルトで固定します。

またフレームがつながっていない部分は通路となります。

ベットを壁や床に固定するためにブラケットを使います。

図を見ると柱の下部分や途中に三角形の部品が付いていますが、これがブラケットです。

一方をアルミフレームに固定、もう一方を車体に開けた穴に合わせて

ボルトとナットで締め付けて固定します。

ブラケットはフレームの溝に沿って自由に動かせるので大変便利です。

CAD図の左側部分は通路の邪魔にならないので据え付け固定です。

また右側部分の奥壁のフレームも据え付け固定です。

右側手前の通路を横切るフレームはこのように下げられる作りにしています。

本来ならばローレットボルトなど手作業でできる方法が好ましいのですが、

安全性を考えて六角レンチを使った方法にしました。

作業性と安全性を両立させるのはなかなか難しいですね。

この構造でKさんも納得してもらえたので、次はこれを製作します。


5.ツ  車中泊用2段ベッドの製作

Kさんから部品の手配を依頼されたのでメーカに依頼して部品を発送します。

3D CADのメリットは部品の手配が一括で行える点です。

本来であれば全ての部品の型式や数量をまとめた部品リストを作成して1点1点手配しますが、

「LINK YOUR DESIGN」を使えば一括して手配する事が可能です。

そのため部品選定ミスや数量ミスなどを減らして簡単に全ての部品を入手する事ができます。


(アルミフレームの購入方法)

アルミフレームやパイプの欠点は入手性の悪さです。ホームセンターでは販売されておらずほとんどネット販売のみです。一般的にはミスミやモノタロウなどのweb商社経由で購入しますが、個人では難しいです。しかし誰でも簡単に購入でき、必要部品を一括購入できる方法がここにはありますよ。


しかもどんな部品でも送料はメーカ負担で自宅まで発送してもらえるので大変便利です。

もし九州から北海道に部品を送るとなると相当な運送費用が必要ですが、

実際には北海道の最寄りの営業所からKさん宅に発送するため無料となります。

手配から納品まで約2週間程かかりますが、その間に私の方で2段ベットの組図を作ります。

初めてアルミフレームを使う場合、どの部品をどこに使うのか戸惑います。

そこで組図や組み立て手順を作成して初めてでも作りやすいようにサポートしています。

詳しくはこちらのKさんとのやり取り内容で見ることができます。


(北海道のKさんとのやり取り内容)

北海道に住むKさんと一緒にトヨタ コースターに2段ベッドを共同DIYしました。そして大人が安心して寝ることができる強度を持ったベッドが無事完成。お互いがアイデアを出し合って設計しています。こちらではそんな二人のやり取りを見ることができます。


部品が届けば後はKさんに組立ててもらいます。

アルミフレームの組立てはボルトを締めこんでフレームどうしをブラケットという部品で

連結していきます。

六角レンチ1本だけで作業ができるのでとても簡単です。

さらにもし間違って取り付けても何度もやり直せるので技術や経験が必要ありません。


(アルミフレームの組立て方法)

 アルミフレームやアルミパイプの組立ては六角ボルトを締めこむだけの簡単作業です。六角レンチ1本あれば全てを組み立てることができます。ウチの小学2年生の子供でもこの通り。誰が作っても同じように組みあがるので技術が要らず、初めての方やDIYしない人も安心して利用できます。


「LINK YOUR DESIGN」の欠点は色々考えて図面を作ったにも関わらず、

私が一度も実物を見る事ができない点です。

現地で直接手伝う事もできませんので、Kさんを信じて待つだけです。

数日後、ついにKさんから連絡が完成したとの連絡がありました。

こちらがKさんが送ってくれた完成した2段ベッドになります。

3D CADの設計通りのベッドが完成しました。

フレームサイズに30mm角を使った事でしっかりした強度が得られており、

実際に寝ても揺れたりたわむような事はないとのことでした。

2段ベットと車体の固定もしっかりしていて動くようなことはないようです。

この連絡を受けてホッとすると同時にKさんに満足いただけて良かったと思います。

6.  さいごに

トヨタ コースターへの車中泊して2段ベットのDIYは如何だったでしょうか?

お互いの得意分野を共用する事で満足いくベットが完成したと思います。

DIYは市販されていない物を自分で作り出す事です。

たしかに経験や技術、知識がないとできないこともありますが、

お互いの持ってるものを出し合って作っていけば一人で作るよりも良い物ができるはずです。

自分のアイデアや世の中にない物を自分で作りだすことはワクワクする挑戦であり、

とても楽しいことですよ。

これからも「LINK YOUR DESIGN」を通じて相談のあった共同DIYを紹介していくので

もし興味がありましたら、気軽に声をかけて下さい。

この記事が皆様の参考になれば幸いです。


アルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒にしてみませんか?

 DIYする時間や工具がない

 普段DIYをしないので自信がない

そんな方にも安心で手間がかからず欲しい物が手に入る共同DIYです。

一人で考えるよりも複数人で考えた方がよりいいアイデアも生まれます。

まず設計や構想は御自分で考えて欲しいものをイメージしてください。

もし自分で加工から組み立てまでされる方は必要に応じてアドバイスを致しますし、

手間な部品手配や加工をしたくない方はこちらで実施して組み立てる状態の部品を

お送りすることもできます。

初めて使う材料で不安な方も安心してチャレンジすることができますよ。

気に入った物が見つからない場合は試してみては如何でしょうか?

サポートやアドバイスは無料で実施しているためできる事、できない事があります。

詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。

Link Your Design

またこれまでのサポート事例はこちら。

 「サポート事例集





これまでアルミパイプやアルミフレームでDIYした事例です。

気になるDIYがありましたらご覧ください。


(野地板とアルミパイプで目隠しフェンスをDIY)

野地板とアルミパイプを使って高さ1.8m、幅8mの目隠しフェンスをDIYしました。独立基礎を作ってそこにアルミパイプを建てて塗装した野地板を貼り付けます。板の貼り方を工夫したことで目線が隠れて風が抜けるフェンスとなっています。しかも製作費用はナント5万円以下!?

(ロードバイクの保管車庫をDIY)

屋外でしっかり保管できるロードバイクの車庫をアルミフレームでDIYしました。ショーケースのように完全に覆った車庫で雨風が一切入りません。出し入れが簡単なように複数の扉が付いており、この中でメンテナンスもできます。鍵を付けることもできるので防犯対策にもなりますよ。

(雨避け屋根がある自転車置き場を簡単DIY)

アーネストワン建売住宅には軒がほとんどないので雨よけする場所がありません。そのため外に置いてる自転車や道具が雨に濡れてしまいます。そこでアルミパイプを使った屋根のある自転車置き場をDIYしました。8×1.8×2.5mと大きな置き場ですが、5万円ほどで作れます。しかも補強や基礎をしっかりすることで大型台風が直撃しても壊れませんでした。

(玄関に壁掛けロードバイクスタンドをDIY)

玄関はロードバイク保管場所としてはとても便利な反面、段差やシューズラックなどがあるので保管しずらい。そこでアルミパイプを使って壁掛けバイクスタンドをDIYしました。バイクの高さを自由に変更することができ、余ったスペースに棚やハンガーを作ればオリジナルのバイク専用ラックの完成です。

(キッチンの壁収納を製作)

 アルミフレームを使ってキッチンに壁収納を作りました。壁を傷付ける事なく、アルミフレームを突っ張り棒のように固定して他の部品を組み立てていきます。アルミは燃えないので火の回りで使っても安心。しかも100均部品を利用したからくりがあります。右の写真でテーブルがありますが、どこか判りますか?

(賃貸でキッチン目隠しカーテンをDIY

 今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。パイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。

(洗濯物を干すサンルームをDIY)

 うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。

(脱衣所にコンパクトな収納棚製作)

 住んでいる家の洗面室がとても狭く、家族4人分の着替えや洗剤などを置く収納場所がありません。そこでアルミフレームを使って洗濯機の上やちょっとしたスペースを有効的に利用できる収納棚を作りました。市販品の棚だとどうしても無駄なスペースが出来ますが、自分で設計して作れば最適。しかも100均を利用して費用も抑えました。


スポンサーリンク
adsense2